そぼろ丼と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
ポロポロ卵とポロポロひき肉がご飯にのった、シンプルで美味しい料理ですよね。
でも、そぼろ丼には意外な歴史と発祥地があります。
実は、そぼろ丼は江戸時代に誕生した、日本の伝統料理なのです。
今回は、そぼろ丼の食材の由来や発祥地について、江戸時代から続く老舗の話しも交えながら、ご紹介します。
そぼろ丼の食材はどこからきたの?
そぼろ丼の食材は、主に卵と肉(元祖は鶏肉)です。
卵は、日本では古くから食べられていましたが、鶏肉は江戸時代になってから庶民の食卓に登場しました。
当時、鶏肉は高級食材で、鶏は卵を産むために飼われていました。
しかし、江戸時代には鶏の品種改良や飼育技術が進み、鶏肉の生産量が増えました。
また、鶏肉は保存がきくという利点もあり、江戸の人々に人気が出ました。
鶏肉の味付けはどうなっているの?
鶏肉の味付けは、醤油とみりんをベースにした甘辛いものとなってます。
これは、江戸時代には醤油が大量に生産され、庶民の調味料として普及していたからです。
また、みりんは鶏の臭みを取り、まろやかな甘さやコク、うまみを引き立てる役割があります。
あとは、水で濃さを調整して味付けをしました。
簡単に言うと、軍鶏鍋屋なので、割り下の材料と同じです。
当時は、砂糖は高価だったのでみりんの甘さをうまく利用したのかもしませんね!
卵はどんな風に使われているの?
卵は、そぼろ丼の上に敷き詰めるために、ポロポロに仕上げます。
これは、卵の食感と風味と見た目を楽しむためです。
卵には、醤油、みりんなどを加えて甘辛く味付けします。
卵は、火加減によって固さや色が変わります。
火が強すぎると、卵が固くなってしまいます。
火が弱すぎると、卵が白っぽくなってしまいます。
火加減は、卵の状態を見ながら調整します。
そぼろ丼という食材の発祥地はどこなの?
そぼろ丼の発祥地は、東京の日本橋にある「玉ひで」という老舗の鶏料理店です。
玉ひでは、1760年に創業した、日本最古の鶏料理店と言われています。
玉ひでの名物は、軍鶏(しゃも)鍋です。
1891年(明治24年)この店の5代目にあたる山田秀吉(ひできち)の妻「とく」が、お客様が軍鶏鍋で残った割り下に卵をとじる食べ方にヒントを得て親子丼を考案したとのことです。
そぼろ丼は親子丼を持ち帰るお客様に、汁がこぼれないように同一の材料で考案した2種目の発見だったのです。
玉ひでの創業者は、鶏の飼育や解体、調理に長けた人物で、鶏のすべてを使って料理を作りました。
お店の歴史は?
1760年 0代目 創業者(山田??)鷹匠の本職を持ちながら隠れ副業のため店名なし名前の情報もなし
□□□□□□□ [住所:人形町3-11-1]
□□□□□□□ 将軍・大名等への出張料理
1785年 1代目 山田鐵右衛門(てつえもん)妻(たま)⇒店名「玉鐵」
****年 2代目 山田鐵之丞(てつのじょう)将軍・大名等への出張料理はこの代まで
1852年 3代目 山田鐵之助(てつのすけ)鷹匠の職を幕府に返上 軍鶏鍋屋に専念
1865年 4代目 山田善次郎(ぜんじろう)支店設立 支店長:子の秀吉16歳[人形町1-17-10]
1891年 5代目 山田秀吉(ひできち)の妻(とく)がお客様の食べ方をヒントに親子丼を考案
1895年 □□□ 店舗拡大に伴い本支店統合(支店側に統合)[人形町1-17-10]
1898年 □□□ 「玉鐵の秀さんの店」と呼ばれるようになり「玉秀」⇒「玉ひで」改名
****年 6代目 山田衷次郎(ちゅうじろう) 強制疎開や政令で営業中止
1949年 □□□ つくだ煮屋の2階に仮店舗を設けて営業再開
1979年 7代目 山田耕路(こうじ) 親子丼店内販売開始 1998年永眠
1998年 8代目 山田耕之亮(こうのすけ)各種メディア出演、コンビニ共同開発等
2022年 □□□ 新店舗建築につき2024年秋まで本店休業
2024年 9代目 山田邦雄(くにお)
左の「年」は就任した年というものもありますが調べきれなかったので、何等かのイベントのあった「年」を書いてます。
それによって、だいたいその頃に活躍していた人物ということがわかりますからね!
玉ひでのそぼろ丼はどんな味なの?
玉ひでのそぼろ丼は、鶏そぼろとポロポロ卵をご飯にのせたものです。
鶏そぼろは、鶏の胸肉を細かくほぐして、醤油とみりんで煮込んだものです。
卵は、鶏そぼろと同じ味付けで、ポロポロに仕上げたものです。
同じ味付けにすることで、鶏そぼろと卵の味がよくなじみます。
玉ひでのそぼろ丼は、シンプルながらも深い味わいがあります。
玉ひでの親子丼には砂糖は一切使わないためキレのある甘味が特徴となっております。
使わないのがポリシーになっているので、甘味に関してはみりんが大事な調味料となっております。
玉ひでのそぼろ丼はどこで食べられるの?
しかし、玉ひでは、もともと軍鶏(シャモ)鍋専門なので、丼ものは店で食べるようなものではないとされていて、当時は客要望による出前専門でした。
つまりメニューには載ってないのです。
親子丼をお店で提供するようになったのは、1979年(昭和54年)に7代目の山田耕路氏の判断であり、なんと考案されてから88年間は店内での提供はしていなかったのです。
そぼろ丼は、そもそも持ち帰り用に汁抜きを考案したものなので今でもメニューにはなく、裏メニューなのかもしれません。
コース料理の中には「鶏そぼろ煮」があるので、それで丼ぶりの味を想像する方法もあります。
もしかしたら、電話で確認することで鶏そぼろ丼を用意してくれるのかもしれません!
大丸東京店の地下1階の食品売り場に「からっ鳥」というテイクアウト店を2020年の暮れからオープンしているのですが、そこでは「純国産手紡鳥の三色丼」や「自家製そぼろご飯」というものが販売された情報もあります。
直営店・監修店情報
直営店
スカイツリーソラマチ7階「たまひでいちの」
東京駅大丸B1「からっ鳥」
人形町日比谷線A2出口上「玉ひで」(持ち帰り)
監修店舗
名古屋駅1階「てつえもん」
名古屋駅13階「とり五鐵」
東北道羽生PA鬼平江戸処「五鉄」
福島道の駅川俣「シャモール」
コレド日本橋4階江戸料理「奈美路や」
「玉ひで」が監修した親子丼が食べられる店はご覧の通りいくつかありますが、「玉ひで」から暖簾と職人さんを預かり、本物の「玉ひで」の親子丼を食べられるのは「奈美路や」だけのようです。
(そぼろ丼の情報はありません)
玉ひでのそぼろ丼の作り方
そぼろ丼は、どんな人にもおすすめの料理です。
栄養バランスが良く、満足感があります。
鶏肉は、たんぱく質やビタミンB群などが豊富で、筋肉や皮膚の健康に良いです。
卵は、たんぱく質やビタミンAなどが豊富で、目や髪の健康に良いです。
ご飯は、炭水化物が豊富で、エネルギー源になります。
そぼろ丼は、忙しい人や体調が悪い人にも、簡単に作れて食べやすいです。
そぼろの語源は「粗朧(そおぼろ)」であると言われており、これはより細かくほぐした「朧(おぼろ)より粗い事が由来のようです。
玉ひでのそぼろ丼の材料(4人分)
(1)鶏ひき肉(もも・むねなど)150g
(2)手羽先 50g
(3)水100ml
(4)溶き卵 2個(1人分)
(5)みりん 180ml
(6)しょうゆ 90ml
(7)水 180ml
(8)ごはん 茶わん4膳分
玉ひでのそぼろ丼の作り方
そぼろ丼の作り方は、とても簡単です。
以下の手順で作れます。
(9)鍋にみりん(5)、しょうゆ(6)、水(7)を入れ火にかけます。
(10)沸騰したら火を止め冷ましておきます。
(11)手羽先(2)は骨から皮ごとはずし、軽く包丁でたたき食べやすい大きさに切ります。
(12)鍋にひき肉(1)と手羽先(11)と水(3)を入れほぐします。
(13)上記(12)に割り下(10)を少し加え、かき混ぜながら強火にかけます。
(14)沸騰したら弱火にして1分だけ加熱します。
(15)上記具材(14)を一旦ザルにあげ、煮汁はペーパータオル等で余分な油アクを取り除きます。
(16)濾した煮汁は火にかけ、水分が4分の1程度の量になるまで煮つめます。
(17)煮詰めた煮汁に具材(15)を戻します。
以下は1人分の作り方になります
(18)適量の割り下(10)を火にかけ、沸騰したら、そぼろ(17)50gを加えて、溶き卵2コ分の4分の3の量を回しかける。
(19)卵にムラが出来ない様に玉じゃくしでならします。
(20)フチが浮いてきたら残りの4分の1の卵を、すき間を隠す様に回しかけます。
(21)器にご飯を盛り上記(20)をかければできあがりです。
熱々のそぼろ丼を召し上がれ。
玉ひで以外のそぼろ丼は、いろんなアレンジがされてます
玉ひでから発展した現代のそぼろ丼には、鶏肉や卵以外の食材を使った、色々なアレンジがされてます。
例えば、以下のようなものがあります。
豚そぼろ丼
鶏肉の代わりに豚肉を使う。
豚肉は、鶏肉よりも脂が多いので、ジューシーになります。
牛そぼろ丼
鶏肉の代わりに牛肉を使う。
牛肉は、鶏肉よりもコクがあるので、濃厚になります。
鮭そぼろ丼
鶏肉の代わりに鮭を使う。
鮭は、鶏肉よりもオメガ3脂肪酸が多いので、健康に良いです。
野菜そぼろ丼
鶏肉や卵の量を減らして、野菜を増やす。
野菜は、鶏肉や卵と相性が良く、ビタミンやミネラルが豊富です。
カレーそぼろ丼
鶏肉や卵の味付けにカレー粉を加える。
カレー粉は、鶏肉や卵の風味を引き出し、スパイシーになります。
今では、三食丼なんてアレンジもされてますね!
そぼろ丼はだいたい黄色と茶色ですが、三食丼は緑色が追加されます。
緑の正体は、「キヌサヤ」「小松菜」「ほうれん草」「グリーンピース」などが使われます。
そぼろ丼という食材/発祥について:まとめ
そぼろ丼は、江戸時代に誕生した日本の伝統料理で、主な食材は卵と肉(元祖は鶏肉)です。
当時は鶏肉が高級食材であり、鶏は卵を産むために飼われていましたが、江戸時代には鶏肉の生産量が増加し、人気を集めました。
味付けは醤油とみりんをベースにし、卵は甘辛く調理されます。
発祥地は東京の日本橋にある「玉ひで」で、1760年に創業された日本最古の鶏料理店と言われています。
そぼろ丼は、親子丼を発展させたもので、5代秀吉の妻「とく」が、お客様が軍鶏鍋で残った割り下に卵をとじる食べ方をしていることから親子丼を考案し、それをお持ち帰りする時に、汁漏れしないように考案したものが鶏そぼろ丼という発見となりました。
「玉ひで」のそぼろ丼は、鶏そぼろとポロポロ卵をご飯にのせ、醤油とみりんで煮込んだ深い味わいがあります。
また、砂糖を一切使用せず、みりんが甘味のポイントとなっています。
作り方は簡単で、鶏ひき肉や手羽先、卵、みりん、しょうゆ、水を使って味付けし、ご飯の上にそぼろを盛り付ければ完成です。
栄養バランスが良く、手軽に作れるそぼろ丼は、忙しい人や体調が悪い人にもおすすめの料理です。
また、近年ではアレンジも進み、「玉ひで」ではありませんが、そぼろ丼としては、豚そぼろ丼や牛そぼろ丼など様々なバリエーションで楽しめます。
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